請求書・見積書・発注書などのアップロードから、取引先・案件・金額・日付など主要項目を自動抽出し、入力フォームにプリセットする機能を導入しました。OCRには Azure AI Document Intelligence(以下Azure DI)を採用。カスタム抽出により当社スキーマへのマッピング精度を担保しています。
課題
- フォーマットがバラバラなPDF/画像の転記作業に時間がかかる
- 書類管理SaaS間の移行コストが高い
- アップロード直後に即時プレビューと候補提示をしたい
これらの課題を解決するため、以下の要件を満たすシステムを設計しました。
- PDF/画像(複数同時可)をアップロード → 主要フィールドの自動抽出
- アプリケーションで登録された取引先・案件情報との候補突合
- 非同期にせずともストレスのない応答
- セキュア(認証・権限制御、拡張子/サイズ検証、期限付きアクセス)
施策(提案・対応)
アーキテクチャは、クライアントからmultipart/form-dataで複数ファイルをPOSTし、Azure DIでテキスト・構造抽出を行ったうえで、DBの取引先・案件をあいまい検索して候補を返却する構成としました。クライアントは抽出結果と候補をフォームへプリセットし、最小修正で確定できるようにしています。
Azure Document Intelligenceの選定理由(他方式との比較)
観点 | AWS Textract | Google Document AI | 独自OCR(Tesseract等) | Azure Document Intelligence |
|---|---|---|---|---|
日本語対応 | × 未サポート | ○ 日本語対応 | ○ 日本語対応 | ○ 日本語対応 |
コスト体系 | ページ従量課金のみ | ページ従量課金+ホスティング固定費 | サーバ維持+前処理/辞書管理の人件費 | ページ従量課金のみ(固定費なし) |
精度/汎用性 | 日本語帳票不可 | 高精度 | 入力画像・前処理次第で大幅に変動 | カスタム抽出により精度を継続的に改善可能 |
立ち上げ容易性 | SaaS型で導入簡単 | SaaS型で導入簡単 | 前処理や辞書整備が負担となりやすい | 少量の実データから段階的に開始可能 |
なぜ Azure Document Intelligence なのか
- 学習の入り口が低い:自社データ約5枚から運用を始めることができ、運用開始後も学習データを追加することで改善可能。
- 価格体系がシンプル:ページ従量課金が中心で、少量・断続的な利用で固定費を抑えやすい。
- 継続アップデート:カスタム抽出品質やテーブル抽出の改善が継続。
成果
Azure AI Document Intelligenceによる自動抽出とフォームへのプリセットにより、フォーマットがバラバラな見積書・請求書でも転記作業を最小限の修正で確定できる形を実現しました。自社データ約5枚から運用を開始でき、運用開始後も学習データを追加することで抽出精度を継続的に改善できる体制を構築しています。
今後の拡張
- 学習データの継続追加により、書類の要素のラベリングの精度を改善
- Azure DI連携前の前処理(ノイズ除去・傾き補正・トリミング)の強化により、文字列認識の精度を向上
- Azure DI結果取得後、HOJORINで保持している取引先名とのパターンマッチ、あいまい検索精度の向上
同じ課題を抱える方へ
OCR導入は「どの方式を選ぶか」で立ち上げ期間やランニングコストが大きく変わります。BASHAKAでは、日本語帳票への対応可否・価格体系・学習コストなど複数の選定軸を比較したうえで、最小限の初期データから始められる形で技術選定・実装まで伴走します。
転記作業に工数がかかっている、書類管理SaaSの移行コストに悩んでいるなど、同じような課題をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。




