背景と課題

  • 顧客のオンライン行動(ページ閲覧、クリック、スクロール、ページ遷移など)に関する膨大なイベントデータがあるにも関わらず、従来のマーケティング施策はメールの一斉配信など単純な方法に留まり、効果が限定的だった。
  • マーケターが手動で行動データをもとにセグメント作成・管理を行っていたため、工数が増大しており、迅速な施策の立案・実施が困難であった。
  • リアルタイムで顧客ニーズを捕捉・対応する仕組みがなく、離脱や機会損失が生じていた。

システム概要

本システムは、ユーザーがWebサイトやモバイルアプリ上で行うクリック、スクロール、ページ遷移などのリアルタイムな行動データを収集・蓄積し、AIが顧客ごとの関心領域や次の行動を予測します。これにより、各ユーザーに最も効果的なタイミングでパーソナライズされたコンテンツ(メールやプッシュ通知)を自動生成し、配信まで自動化するマーケティングオートメーションツールです。

システムの詳細な流れ

  • ユーザーがWebサイト・アプリ上で実施するイベント(クリック、スクロール、ページ遷移、閲覧時間)をリアルタイムで収集
  • 収集したイベントデータをLambdaを利用してリアルタイムで加工・分類し、DynamoDBに保存
  • 保存されたデータをAmazon Personalizeを活用してユーザーの興味や次のアクションを予測し、適切なコンテンツを決定
  • AIによるコンテンツ生成(Amazon Bedrock)を活用し、パーソナライズされたメールや通知メッセージを作成
  • Amazon Pinpointを通じて、ユーザーの関心が最も高まるタイミングで自動配信

採用したAWSリソースの具体的役割

サービス

用途

選定理由

Amazon EventBridge/Kinesis

行動イベントのリアルタイム収集

大量データをリアルタイムで安定処理

AWS Lambda

データ加工、リアルタイム処理

スケーラブルかつリアルタイム処理に最適

Amazon DynamoDB

リアルタイムデータの格納

低レイテンシで高速アクセス

Amazon S3 + AWS Glue + Athena

データ分析基盤

大規模データを効率的に管理・分析可能

Amazon Personalize

行動予測、レコメンド提供

機械学習による個別最適化

Amazon Bedrock

AIによるコンテンツの自動生成

人手を介さず迅速かつ大量のコンテンツを生成

Amazon Pinpoint

チャネル横断の自動配信管理

自動化によるマーケティング業務の効率化

AI活用の具体的な成果

  • メール開封率が従来の8%から24%に改善
  • コンバージョン率が0.3%から2.1%へ大幅向上
  • マーケターが手作業で行っていた顧客セグメント作成や施策の工数を65%削減

想定月額利用料(中規模、月間ユーザー100万人)

サービス

使用量

料金(月額)

Amazon Pinpoint

200万通メール・通知

400 USD(約64,000円)

EventBridge/Kinesis/Lambda

5億イベント

150 USD(約24,000円)

DynamoDB

標準500RCU/500WCU

100 USD(約16,000円)

S3/Glue/Athena

2TB保存・100GB分析

60 USD(約9,600円)

Amazon Personalize

レコメンド利用

200 USD(約32,000円)

Amazon Bedrock

コンテンツ生成(50Mトークン)

200 USD(約32,000円)

SES/SNS

200万通メール配信

80 USD(約12,800円)

その他(API Gateway等)

-

60 USD(約9,600円)

合計

-

1,250 USD(約200,000円)

※1USD=160円で換算

まとめ

リアルタイムで収集したユーザーイベント情報をAIで活用し、パーソナライズされたコンテンツの自動生成・最適タイミング配信を行うことで、マーケティング成果を劇的に改善。工数削減と顧客満足度の向上を同時に実現しました。